大学院留学へのロードマップ2

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目次

  1. タイムスケジュール(大学院留学へのロードマップ1
  2. 出願先の選定について(大学院留学へのロードマップ1
  3. 奨学金応募(大学院留学へのロードマップ1
  4. Personal Statement(大学院留学へのロードマップ1
  5. Writing Sample(大学院留学へのロードマップ1
  6. 研究計画書
  7. 推薦状
  8. TOEFL・IELTS
  9. GRE
  10. 終わりに


研究計画書

 研究計画書とは、大学院で行いたい研究を簡潔にまとめた書類のことである。語数は一般的に最低1,000語以上で、内容にはリサーチクエスチョン、先行研究の整理、仮説、方法論、予想される結果、研究の意義を含めることが多い。イギリスの修士課程に出願する場合、研究よりもコースワークが中心となるMScでは求められないことが一般的である。逆に、研究が中心となるMPhilでは提出が必要な場合が多い。

 学部生が英語圏の大学院に研究計画書を提出する場合、十分な時間を確保することが特に重要となる。その理由だが、第一に日本語で研究計画書を作った経験がない場合が多いからである。第二に、専攻する分野によっては、日本語と英語圏との研究動向に大きな開きがあり、自分が将来実施したい研究に国際的な文脈を与える作業に時間を要するからである。

具体的な記事はこちら:
イギリス修士課程④ 研究計画書


推薦状について

 推薦書とは、特定の人物が志望大学院に対して出願者を推薦する書類のことである。前提として、推薦状のためには出身・所属大学の教授もしくは所属機関の上司にお願いする必要がある。したがって、推薦状が必要になる時から逆算して1~2ヶ月前に執筆のお願いをするとスムーズである(合格後の報告とお礼も忘れずに!)。以下、推薦状を書いてもらう際に気をつけるべき点について、①推薦状の執筆者の選び方と②推薦状の内容の2点に分けて紹介する。

①推薦状の執筆者の選び方

 執筆者を探す際には、自分のことを長く知っている人物>著名・有力な人物>引き受けてもらえそうな人物の順に依頼するのが一番よい。なぜなら、出願者について詳しく書いてある推薦状はより説得的であり、推薦者に出願者の長所を詳しく書いてもらうには、長期にわたる人間関係が前提となるからである。

 推薦状の執筆をお願いする際には、時間の余裕を十分に持って戦略的に行動することが大切である。具体的には、将来推薦状をお願いできそうな教員の講義を履修するように普段から注意し、実際に出願を決めてからは、推薦をお願いする可能性のある相手を全て洗い出し、候補を絞ったら早めに相談することを勧めたい。時間の余裕が必要な理由は、推薦状の執筆者を複数名探す必要があったり、依頼する段階になってトラブルが発生したりするからである。いざ推薦者に依頼する時になって連絡が取れなくなったり、自力で原稿を執筆するように言われることは時々起こる。(事実、筆者は推薦状を依頼する大本命の相手だったゼミの担当教授が健康上の理由で休職してしまったので、他の方を探すのに苦労しました…)

②推薦状の内容

 推薦状を依頼する際には、字数や使用言語、署名、レターヘッド(所属機関のロゴが入った文書)などに関する形式上の注意事項を伝えるだけでなく、内容に含めてほしい事柄も伝えるべきである。具体例としては、出願する大学・学部、成績、過去の研究業績、人格上の長所、学外活動の成果である。場合によっては、レポートや卒業論文の評価における相対的順位を含めてもらうのも有効だろう。ただし、推薦状を最終的に執筆するのは推薦者その人なので、推薦状や内容に関してはよく相談するのが大事である。

推薦状に含めるべき内容を把握するのに、こちらの記事を参考としておすすめしたい。

さらに実際の例として以下の記事を参照してほしい。
アメリカ農業経済学大学院への出願体験記(番外編:出願書類の詳細)


TOEFL・IELTS

 英語を用いる大学院に出願する場合、語学試験のTOEFL(iBT)もしくはIELTSの受験がほぼ必須となる。大学院留学に最低限必要となる点数の目安は、TOEFL(iBT)なら85点、IELTSならOverall 6.5程度である。逆に、TOEFL(iBT)なら110点、IELTSならOverall 7.5を取ればほぼ全ての大学院の出願要件を満たすことができる。一般的に、語学試験で必要な点数は非英語圏より英語圏の方が高く、社会科学では経済学よりその他の分野の方が高くなる。

 試験形式に関しては、TOEFLでは基本的にiBTを受験することになるが、IELTSではPaper-basedとComputer-basedの2種類から選べる。IELTSはもともとPaper-basedの試験のみだったが、日本では2019年3月からComputer-basedの試験が導入されている。いずれの形式でもスピーキング試験ではネイティブ・スピーカーと対面で会話することになるが、Paper-basedでは手書きで答案を作成する一方、Computer-basedではパソコンを使用することになる。Computer-basedは試験日程の選択肢と答案返却までの日数において優れているが、2020年8月現在、試験会場が東京都内の3箇所に限られているという地理的な短所がある。また、大学院によっては、通常よりも料金の高いIELTS for UKVIという試験を受けることを要求する場合があるらしいので注意してほしい。

TOEFL・IETLSの受験体験談については以下の記事がおススメだ。
半年間でIELTSのスコア6.0から7.5まで伸ばしたお話
大学在学中にIELTS Overall 8.0を取得する方法(前編)
英語弱者が1年間でTOEFLのスコアを68から96まで上げた方法

それぞれの試験に関しては、以下のリンクで詳細を確認してほしい。

TOEFL (iBT) : 
https://www.ets.org/jp/toefl/test-takers/ibt/about

IELTS (Paper-based) :
https://www.eiken.or.jp/ielts/

IELTS (Computer-based) : 
https://www.britishcouncil.jp/exam/ielts/which-test/computer-delivered-ielts

IELTS for UKVI:
https://www.britishcouncil.jp/exam/ielts-uk-visa-immigration/about


GRE

 GRE(Graduate Record Examination)は主として北米の大学院受験において、スコア提出を求められる試験。実施形式はオンラインである。GREには、一般的な知識(英語と数学)を測るGeneral Testと、専門的な知識を問うSubject Testの2種類があるものの、ここでは多くの大学院がスコア提出を求める前者について解説する。

・3セクション構成

V: Verbal Reasoning(20分×2-3セット、各セット20問ほど、130-170点) 

Q: Quantitative Reasoning(35分×2-3セット、各セット20問、130-170点)

W: Analytical Writing(30分×2問、0.5-6.0点)

・点数について

 点数には二種類ある。第一に素点 (e.g. Verbal 150点) 、第二に受験者全体で下から数えたときの度数 (e.g. 45%)であり、大学院がよく参考にするのは後者である。素点と度数の対応関係は、その時の受験者全体に依存するので一概には言えない。しかし、こちらの記事(https://www.mbacrystalball.com/gre/gre-score-percentiles)を参考にすると、トップレベル大学がしばしば要求する、各セクションでの度数85%を取るためには、点数で

V:160/170 Q:163/170 W:4.5-5.0/6.0 

程度を取得する必要がある。

・試験の各セクションについて:大前提としてGREはネイティブ・スピーカーも受ける試験である。したがって、VerbalとWritingに求められる英語力は非常に高い。一方、Quantitativeについては高校数学までの知識で十分に太刀打ちできる。

V: リーディング問題と単語の穴埋め問題で構成されており、前者と後者の比重はおおむね1:2である。単語に関しては理不尽ともいえるレベルの問題がしばしば出題されるので、早い段階からGRE verbalに特化して語彙を学習しておくべきである。

Q: 計算問題、文章題、図形問題など幅広く出題される。難易度は高くないが、様々な数学用語を英語でなんというかは押さえておかなければいけない。この点は予想問題等を解くこと対応できるだろう。また数学をよく使う分野(多くの理系分野、経済学、心理学、計量社会学、計量政治学など)の受験生なら満点を狙いたいところ。

W: TOEFL iBTのIndependent Writingに非常によく似ている。ただ求められているレベル・ボリュームは少し高い印象。制限時間内に論理を組み立て、できるだけ簡潔に、かつ説得的に記述できるかが重要だろう。

・留意点

多くの受験生は、恐らくVとWとに苦戦するかと思うので、二点補足しておく。まず専門分野によっては、Qの点数を中心的に見る(またはQのみに点数の要求を課している)場合が多い。その場合、VやWができるに越したことはないが、そこまで気負う必要はない。第二に、選考プロセスにおいてGREはそこまで比重が大きくないことが多い。学修・研究に必要な基礎体力を問うという意味合いが強いので、Writing sampleや推薦状で高い研究能力(ポテンシャル)を証明できていれば、多少GREの点数が悪くても高確率で合格をもらえるように思う(体験談)。


終わりに

 以上、留学に至るまでに必要な作業をステップごとに解説した。出願には膨大な作業が必要になり、時に心身ともに疲労を覚えることもあるが、留学するには必ずしも特別な才能の持ち主である必要はないことが分かったはずである。むしろ、出願の成否は、自分の目標を確かに定め、その達成に必要な作業を着実に実行できるか否かにかかっている。だから、留学を志している人は、今すぐにでもできることを始めてほしい。皆さんの留学が成就することを祈ります!