海外大学院留学に向けて
このページでは、海外大学院に進学するのに乗り越えるべき各ステップを、理想的なタイムスケジュールとともに簡潔に紹介する。このページを見て、まだ大学院留学が茫漠たる希望にしかすぎない人には、留学が実現できることを実感してほしい。すでに留学準備を始めた人には、今後の出願作業を進める上で一里塚のように活用してほしい。
目次
- タイムスケジュール
- 出願先の選定について
- 奨学金応募
- Personal Statement
- Writing Sample
- 研究計画書(大学院留学へのロードマップ2)
- 推薦状(大学院留学へのロードマップ2)
- TOEFL・IELTS(大学院留学へのロードマップ2)
- GRE(大学院留学へのロードマップ2)
- 終わりに(大学院留学へのロードマップ2)
タイムスケジュール

まず、大学院留学を現実のものにするためにどの時期に何をすべきか把握しておくのは計画を立てる上での大前提だ。
もちろん上に示したようなタイムスケジュールでなくても留学を実現するのは可能であるが、あくまで時間に余裕を持てるであろう”理想的”なタイムスケジュールだ。
語学スコア・GPA準備:出願前年度~出願年度9月ころ
語学スコアは早いうちに取得するのが吉である。出願書類に時間を割きたい時に語学試験対策に時間を取られると歯がゆい思いをすることになる。また、GPAは半年程度勉強を頑張っただけでは向上しないので、留学を視野に入れている人は長期的な観点に立って成績を維持するように努めてほしい。
出願大学決定:出願前年度2月頃~出願年度10月頃
進学したい大学を早めに決めておくと、留学準備に取り掛かりやすい。奨学金に出願する際にも志望大学は書かなければならないので、なるべく余裕を持って決めておこう。
奨学金応募:出願年度5~10月
各奨学金の募集がはじまる。奨学金ごとに求められる書類・締め切りが違うので、しっかり確認してほしい。
出願書類準備:出願年度前年3月頃~出願年度12月頃
出願先大学の決定次第、出願書類の作成に取りかかろう。一朝一夕に完成させられるものではないので、熟慮を重ね、適切な相手に助言をもらうのがよい。
推薦状のお願い:出願年度6~11月頃
大学教員は忙しい。だからこそ、出願直前に推薦状を依頼して相手の心象を悪くしたり、完成が出願に間に合わなかったりすることは絶対に避けたい。どのような内容が望ましく、いつ頃に何通必要になるのかを事前にしっかり伝えておこう。
出願:出願年度8~1月頃
いざ出願。現時点で最高の自分を書類に込めて、大学院に存分にぶつけよう。
合否判明:出願年度12月~翌年度5月頃
大学によって合否判明時期は異なる。皆さんのサクラが咲くことを当プラットフォーム関係者一同祈っている。
渡航準備:翌年度6月頃~
ビザ取得、寮の契約、航空券の購入をはじめ、渡航に向けて必要な作業は山のようにある。大学院留学はもう間近だが、油断は禁物である。
渡航:翌年度8月頃~
大学院留学はスタートにすぎないが、ここまでたどり着いた自信を胸に頑張ろう!
出願先の選定について
出願先の大学を決めるにあたって、考えるべきことは4点ほどある。
①:やりたい勉強・研究ができるか(自分の専門分野で実績を残している教授がいるか、そして自分の学びたいことを先生や学生と議論できそうか)。 専門分野に強い大学を選ぶのが大前提!
②:今後のキャリアにどのくらい適しているか(卒業生の進路やインターンの機会、修学年限)
③:滞在地域の文化・住環境が好ましいか(気候や食事が合わなくて精神的に参るのはもったいない!)
④:学費・生活費を払えるか(もちろん給付型奨学金・貸与型奨学金など、資金調達の手段はたくさんある)
出願に至るまでの体験談はこちらから:
アメリカ農業経済学大学院への出願体験記
イギリス修士課程② 志望校の選定基準・出願のスケジュール
国立台湾大学出願体験記(農業経済学)
UCL-IOE大学院出願体験記(イギリス教育学)
はいから的EU圏への片道切符(EU圏物理学)
奨学金応募

海外大学院に進学する場合、特に英語圏では日本で進学するよりも学費や生活費が高くなる傾向にある。
しかし、大学院留学の可否が家庭の余裕で決まるわけではない。返済不要の奨学金を獲得すれば、一般的な家庭の大学生でも海外に進学できる。場合によっては、日本で進学するより費用が抑えられることもあるだろう。
上の表では、人文社会科学系を専攻しており、勤務経験のない学部生でも応募できる国内の奨学金を一覧にしてある。採用数や金額、出願時期は奨学金によって大きく変わるので、表を参考にしながらも、各自で奨学金のサイトを確認してほしい。
以下の記事では、奨学金獲得に至るまでの体験談を紹介している:
大学院留学奨学金 面接編
PERSONAL STATEMENT
Personal statement(PS)とは、自分のこれまでのアカデミックな経歴や学術的な興味・関心、これから研究したい領域についてに記し、自らをアピールする書類である。PSに書くべき内容は出願する大学やコースによって異なることから、何が求められているのかを確認してから執筆する。
通常は500~2,000wordsで作成し、なぜ自分がこの大学/コースを選んだのかという理由を、これまでの自身の経験や、出願先の大学の強みとフィットすることなど根拠を明らかにして書く。また修士論文で扱いたいテーマについて触れたり、出願者自身が大学院にクラスや研究でどのように貢献できるか、出願する大学院で学ぶことが卒業後の進路や目標を達成する上でどのような貢献を果たすのかを明示する。
一貫性のある良いパーソナルステイトメントを作成するために、様々な人に出願前に読んでもらうなどし、加筆修正を行うことが望ましい。
具体的な記事はこちら:
海外経験のなかった大学生が志望動機書の経歴欄に書いたこと(イギリス人類学)
オックスフォード大学院の出願書類①パーソナルステイトメント編
WRITING SAMPLE
内容が出願するコースに関連したアカデミックライティングを作成する。ライティングサンプルは、ほとんどのイギリス大学院(修士)では求められないものの、アメリカや一部のイギリスを含むヨーロッパの大学院では、出願時にライティングサンプルが出願書類に指定されることがある。
ライティングサンプルが求められる場合は、構成・内容・体裁・字数ともに出願予定のコースが求める条件をもれなく満たすようにする。少ない字数のなかで議論を十分に発展させるため、じっくりと時間をかけてリサーチや先行研究の読み込みにあたることが望ましい。卒業論文を執筆した学部生は、内容をよく練って提出することも策である。
具体的な記事はこちら:
イギリス修士課程⑤ ライティング・サンプル