サセックス大学MA Migration Studiesの1年を振り返る①秋学期

大変ご無沙汰しています。みのりです。

2020年9月からサセックス大学MA Migration Studiesで勉強しています。

筆不精を余すところなく発揮し、前回の投稿から1年近く空いてしまいました。

思えばこの1年でイギリス大学院修士課程の秋学期、クリスマス休暇、春学期、イースター休暇を経験してきたので、キラキラしていない部分も含めて、今後留学する皆様がイメージしやすくなるような体験記を書き残せればと思っております。今回は1年の振り返りの第1弾として、秋学期の授業の様子をお伝えします。

授業の内容について

忘れもしない、9月19日に5人用の小さな家の形をした寮に最初の住人として入寮し、深夜に鍵をあけてバタバタと階段を上がってくる人物を不審者と勘違いしてクイックルワイパー片手にドアを開けたら新しいハウスメイトだったというあの日は、arrivals weekendの土曜日でした。Arrivals weekendで学生がキャンパスに到着しはじめ、月曜日からのorientation weekを経て、9月28日に授業が始まりました。秋学期は11週間。履修していたmoduleは2つで、どちらも履修必須(core module)でした。COVID-19の感染状況を鑑み、数回のLectureを除いて全てのオリエンテーションと授業がzoomを通して行われました。

  1. Managing Migration

     イギリス人の先生が前半、イタリア人の先生が後半を担当するこの授業は、広くmigration(人の移動という現象そのもの)をテーマとし、国家が移動(特に国家に入ってくる移民)をどのように管理するかという問いに欧州を舞台に答えていくものです。毎週1時間のLecture(講義形式で先生が一方的に喋る)と2時間のSeminar(学生同士の議論、プレゼン、ディベート等)で構成されます。受講生はMA Migration Studiesの学生のみで、16人ほどでした。国籍は日本、タイ、バングラデシュ、ポーランド、オーストリア、オランダ、フランス、スペイン、南アフリカ、アメリカ、コロンビア、アルゼンチン各1人、ドイツ、イギリス各2人という多様な構成でした。しかしその実、ヨーロッパにルーツを持つ人がほとんどで、そうでなくても学部は英語で修めましたという人ばかりでした。英語圏での1年以上の居住経験や海外留学経験がなかったのは私だけだったと思います。

     16人の中で最底辺の英語力をひっさげ、11週間の秋学期をなんとか耐えました。授業前に読んでおくcore readingが毎週5本出るのですが、これが各20-30ページあり、内容もこれまで勉強したことのない政治学のものばかりだったため、全て理解して授業に臨むなど到底不可能でした。最初こそ全て自分の力でスキミングで読もうとしていましたが、それではとても間に合いません。Abstract, introduction, conclusionだけを抜粋して読んで授業に参加したときは、seminarで周りの学生が何を言っているのか全く分かりませんでした。最終的に罪悪感に苛まれながら、翻訳ソフトDeepLに全文を翻訳してもらい、日本語で大意を掴むという予習パターンが定着しました。この論文ではこんなことを言っていた、という印象に残ったことを日本語でipadにメモする習慣をつけていたことが、term paper執筆の際に功を奏しました。

     Lectureは事前にレコーディングされているものをseminar前に観ておくという形式だったため、授業で使われるパワーポイントを読み込んでからlectureを観て、先生が何を言っているのか理解するまで何度も巻き戻していました。そのため1時間のレコーディングを観終わるのに2時間ほどかかっていました。Lectureの内容はcore readingをベースにしているので、lectureまでに前述の通り全ての文献に目を通し大意を掴んでおく必要がありました。しかし、それをやっているのは16人の受講生の中でも2, 3人だったように思います。みんな口をそろえて「全部読めるわけないわ~」とニコニコしていました。

     このmoduleのseminarは、春学期を終えた今でも断トツに大変でした。毎週必ずグループプレゼンがあり、毎回グループメンバーが変わるため、その週のseminarが木曜日に終わったらすぐ次週のためのwhatsappグループを作り、顔合わせとプレゼンの分担を決めるミーティングを金~月曜に行い、google slideで共同作業し発表練習を火~水曜日に行うというルーティンが出来上がりました。プレゼン内容のブラッシュアップやseminar中の議論ではクラスに貢献できないことが目に見えていたため、グループ作りや日程調整、zoomリンクの発行、当日のスライドの画面共有など、地味な雑務をこれでもかと引き受け、なんとかチームに貢献しようとしていました。議論でも毎回1回は発言すると決め、誰かの発言に対して「私も同じ考えだ。日本でもこんなことがあるがこういう議論のされ方をしていて、この視点が欠落している」というテンプレを作り、それに沿って毎回答えるようにしていました。的はずれな発言をしていたことも、英語がたどたどしくて理解されなかったことも何度もあったと思います。日本語ならできたであろう、考えながら話すということが当時はできませんでした。日本語でならもっと洞察に富んだ意見が言えるのに、どうしても英語にならなくて悔しい、とオフィスアワーで先生に漏らしたこともありました。それでもweek7あたりから神経が図太くなり、やれることやったんならオッケー!と開き直ることを覚えました。最終週を迎え、先生から「みんなコロナという厳しい時にオンラインでよく頑張った。君たちは本当のチームになれた。」と言われたときは、私だけでなく他の学生も笑顔で、ありがとう、お疲れ様とお互いに労いの言葉を掛け合いました。

  2. Migrants and Society

     サセックス大学の移民研究機関であるSCMR (Sussex Centre for Migration Research)のセンター長が講師を務めるこのmoduleは、MA Migration StudiesとMA Migration and Global Developmentの2コースの学生計35人程度が参加し、移動する個人の行動や、国境を越えた繋がりに関する理論や考え方を学ぶものです。社会関係資本論をはじめとした社会学の理論も数多く登場します。個人的にはManaging Migrationの内容よりも学部時代に勉強していた社会学や人類学と関連が強かったため、知的好奇心に任せて勉強することができました。こちらも1時間のlectureと2時間のseminarで構成されますが、Managing Migrationとの大きな違いはseminarの内容です。こちらのseminarではプレゼンではなくブレイクアウトルームでの議論が中心でした。Lectureの内容を確認し、それに関するテーマを先生が提示し、ブレイクアウトルームに分かれて議論してメインルームでシェアする、という流れでした。そのため事前準備がManaging Migrationほど求められることはなく、なんとかバランスを取ることができていました。同時に、受講者の結束感はManaging Migrationほど生まれなかったというのも事実です。
     ちなみに、1週間の授業スケジュールはこんな感じでした。こう見ると楽そうですよね。

Assessmentについて

昨年の9月授業のシラバスが公開されるまで、私はエッセイやタームペーパーといった課題と評価方法についてあまり理解していませんでした。いつ何を提出するのか、それぞれの準備はどれだけ大変なのか、授業と並行して課題を進めるのか、全くイメージできていませんでした。修士論文を除く全ての授業と課題を終えた今なら、少しばかり分かりやすく説明ができるかと思います。

 基本的に自分のコースの授業の単位を落とすことは許されません。秋学期にcore moduleが2つあった私は、どちらの単位も確実にもぎ取る必要がありました。Managing Migrationでは毎週プレゼン課題がありましたが、それは全く評価には入らず、12月の第2週に授業が終了しクリスマス休暇を挟んだ1月11日に提出の5000wordsのエッセイが評価の全てでした。Migrants and Societyも同様です。したがって、9月から12月の授業は全てエッセイを書くための下地というわけです。私のコースでは100点満点中50点以上が合格です。大まかに50~59がpass, 60~69がmerit, 70~がdistinctionです。優秀な人は皆distinctionを目指すのですが、私はpassがもらえれば大勝利という感覚でした。

 授業の理解はさることながら、academic writingがいかにできているかも評価の対象です。英語が第一言語でない人のために、サセックス大学ではELAS (English Language for Academic Study)というプログラムが英語を学ぶ授業を無料で提供しています。私はエッセイの書き方講座や論文の批判的な読み方、簡潔な英文の書き方など、受講できる授業を全て履修しました。1対1でエッセイの一部を添削してもらえるというtutorialもあり、エッセイ提出前には大変重宝しました。

以上のようなサポートをフル活用しながらエッセイを書くとなると、大まかな理想のスケジュールは以下のようになりました。

Academic writingについてEssayの内容について
10月ELASの講座開始授業の主なポイントと印象に残った点を記録しておく。
11月ELASで得た知識を反映させながらEssayのBody partを書き始める授業のメモを元にエッセイのテーマを考える。
Sentence outlineを書き、オフィスアワーで先生にアドバイスを求めるもよし。
方針が固まったらbody partを書き始める。これが叩き台になる。
ある先生は「最初から理路整然と書ける人なんていないんだから、f*cking messy draftでいいから早めに書き始めなさい!!」とすごい眼力で熱弁。
12月First draftを書き上げる
Tutorialで添削してもらう
後々の授業で登場したアイデアを追加しながらブラッシュアップ。
Reviseを重ねながら体裁を整えていく。
1月11日提出

実際はこんなにうまくいくはずもなく、日々の授業に追われていた私がbody partを書き始めたのは12月に入ってからでした。ブラッシュアップとか修正とか言ってられない。提出日の時間ギリギリに酷いクオリティで提出しました。これが2科目分あるのだから目が回りました。それでもなんとか2つとも合格点をもらうことができ、1月の最終週から始まる春学期に歩を進めることができました。

次回は就活との両立に悩みまくった春学期の様子について書いていきます。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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