LSE修士課程での1年間:困難・解決策・試行錯誤①

これまでに2回に渡って学部卒業からLSE留学までの6ヶ月: Part1学部卒業からLSE留学までの6ヶ月: Part2と題して学部卒業から大学院入学までの半年間の時間の使い方についてご紹介してきました。

今回は、いよいよLondon School of Economic (LSE)での1年間の留学時代について、書きたいと思います(本記事のみでも内容は分かるように書いておりますので、ご心配なく)。既にこの類の留学体験記は世に多く出回っていると思うので、私の経験した困難やその解決策、試行錯誤を中心に書いてみることにします

LSEへの通学路(バスの2階座席先頭から)

英国大学院進学に至った経緯など、他のサイトとなりますが、記事を書きましたので、ご関心があれば2つの記事(記事①記事②)を参考にして頂ければ幸いです。

1: LSE修士課程の1年間のアカデミック・スケジュールとコース、卒業単位

 こちらの記事でも触れましたが、英国のTaught Masterと呼ばれる修士課程は、1年間でコースワークと修士論文(Dissertation)を修了することが基本的な全体像です。私の在籍していたLSEでは、1年は4つのセメスターに分かれていました。具体的には、私が在籍していたMSc International Relations Theoryというプログラムの2018-2019年度は、以下のようなスケジュールでした(大学やコースによってアカデミック・カレンダーは異なるため一例として参考にしてください)。

期間ターム名詳細
 9月下旬~12月中旬Michaelmas Term(以下MT)授業期間
 12月下旬~1月上旬クリスマス休暇
 1月中旬January Exam
 1月下旬~3月下旬Lent Term (以下LT)授業期間
 4月〜5月上旬コースのFinal Paper/Essayの執筆期間
 5月上旬~6月中旬Summer Term (以下ST)試験期間
 6月下旬~8月末, 9月上旬修論執筆期間
LSE修士課程の流れ

 卒業単位数としては全体で4単位(3単位のコースワーク+1単位分の修士論文)でした。単位数と単位の認定については、LSE学内であってもコースによって異なり、また必修科目が多いコースもあれば、選択課目(コースリストからなら好きなコースが選べる)の履修が大幅に許されているコースもあります。私は、Department of International Relaitonsという学部の提供する修士課程のコースに在籍していましたが、指導教官と相談し、Department of International Historyのコースを単位認定される正式な自由課目に認めてもらい、受講することにしました。こうした学部を超えてのコース受講の相談・交渉の可否及び、各プログラムの単位や必修科目については、各大学のプログラムページに記載されています。

 出願時にすでにどのコースに関心があるのか、関連するマスター・コースを5つほど比較して、それぞれの場合の「仮想時間割」を作成していましたが、これは出願時に最終の第一志望のコースを決める際にも、また留学がはじまり履修登録する際にも、役に立ちました。またそうした留学後のことを具体的に「妄想(?)」することで、出願中の大変な時期のモチベーションの回復にも役立ったので、余裕がある方はぜひやってみてください。

2: 履修登録と課題、そして「想定外」の出来事に直面して

 実際に履修登録を行う10月上旬に、どのようなことを考えながら履修登録をしていたのか、その際に重要な考慮すべき点としてコース毎の課題の採点基準や分量、そして履修登録期間に起こる「想定外」の出来事について、ここでは書きたいと思います。

 まず、上述した留学前に組んでおいた「(前年度版のコース一覧に基づく)仮の時間割」を頭の片隅に置きつつ、当年に休講となったコースと新しく開講となったコースを把握しました。そして、改めて、多めに関心のあるコースをリストしました。その上で、履修登録において、私が考慮したことは、少しテクニカルな観点ではありますが、3点あります。

 (1)最終の成績評価における期末レポートと期末試験の割合を調整すること、(2)0.5単位の授業を4つにしないこと、(3)MT、LTのアカデミック・ターム間でのバランスをとることです。1つ目については、最終課題・試験が、エッセーもしくは試験に偏りすぎるとしんどいため(試験期間が決まっているため、結果としてその期間に試験が集中する)、また私が試験が苦手であったのでエッセーを希望していたことが挙げられます。2つ目については、0.5単位の授業(MT、LTのどちらか「半期」/1単位の授業は、MT、LTの「通年」になります)を4つにするとその分、最終課題・試験の際に、課題・試験の数が増えて、1つのコースあたりに集中できる時間が減るという認識からです。このあたりの話は、当時のオリエンテーションでも注意喚起がありました。基本的には取りたい授業を履修することが重要ですが、少し戦略的にコース課題や評価基準を考慮することも重要でしょう。3つ目は、特に0.5単位のコースを取る際に、それがMT、 LTの学期に偏らないように配慮することです。偏りが生じてもなんとかやっていけるようですが(友人が数名やっていました)、やはり大変そうでした。結果、私は、MT、LTの「通年」のコースを2つ(一つ必修、一つ選択)、MTの「半期」のコースを一つ(選択)、LTの「半期」のコースを一つ(選択)としました。

 コース毎の成績評価基準については、各コースのページ(LSEのコースの一例)から確認できるかと思いますが、強いて分類するなら、期末試験型と期末エッセー型に分けられます。それぞれ文字通り、コースの成績評価を試験(例:2時間ないしは3時間の筆記試験)、もしくはエッセー(例: 5,000 words)で行うというものです。通年の1単位のコースでは、試験とエッセー両方が最終成績に加味されることもあります。英国では、(米国と違い)基本的には授業の参加や毎週のレポート課題などの「平常点」は、コースの最終成績ではカウントされません(勿論、私の受講していたアメリカ人教授の授業のような例外はありますが)。その点、授業で発言ができない、日々の授業に着いていくのに精一杯という状況になっても、STの期間に復習を念入りにすれば、一発逆転が狙える仕組みになっているとも言えます。一方で、LSEを始めとする英国の大学では、最終成績には加味されないが、提出を求められるエッセー課題(formative essay)やプレゼンテーションが与えられます。これは、大学のガイダンス的に言えば、学期中のこうした機会を利用して、英国式の採点基準を理解してくださいということだそうです。したがって、学期中に完全に手を抜いて、最後だけ努力するという作戦は、あまりおすすめできないと言えるでしょう(読者のみなさんなら、さすがにやらないと思いますが)。

 こうして練りに練った履修プランも思わぬ「事件」が起こり、練り直しを迫られることもあります。私は英国修士号留学の経験のある先輩から事前に聞いてはいたのですが、LSEでは、学生数と授業数の釣り合いが少し悪く、人気の授業には学生が集中し抽選が起こります。その結果、一部の学生が落選して、コースの履修のやり直しに直面するということが頻発します。運が悪いと2〜3つのコースで落選(さすがに3つで落選すると学部から救済措置があるようでした)、だいたい平均1つは落選するという肌感覚でした。私も落選を経験し、あるコースを諦めました(従って、実際に受講したのコースの一つは、選び直したコースです。とはいえ、さすがLSE、授業のクオリティーは高かったですが)。しかし、結局落選したコースは、先生にメールを書いて、レクチャーのみ参加を頼み込み、入れてもらいました。事実、こうした履修関係の問題で、当初から受講を心待ちにしていたコースを諦めざるを得ないということで、留学の満足度が落ちるという話もよく聞きます。しかし、実は、直接先生に申し出れば、レクチャーへのオブザーバー受講が認められたり、オフィス・アワーにアポイントメントを取ったりして研究相談を行ったり、レコーディングを聴講したり(LSEでは登録をすれば他学部のコースのレコーディング動画ですら見ることができました)もできます。また、実際に正式な履修科目だけで、手一杯になるのですが、最も時間をかけず関心のあるコースのエッセンスを獲得する方法として、(あまり大きな声では言えないのですが)シラバスをダウンロードすることがオススメです。LSEの場合は、学生ログインですべての授業のシラバスへのアクセス権が得られました。シラバスは、英国では(米国でもそうだと思いますが)その分野の第一線の教授が考え抜いて作成した知的成果の一部です。それに浴びるように触れられるのも、高い授業料を払っている学生の特権だと自分に言い聞かせて、特権を使っていきましょう。

次回は実際のコース受講経験と自己流適応方法、大学での学びや日英での両修士課程を経験した感想をもって本連載を締めようと思います。

LSEペンギン(筆者撮影)

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