オックスフォード・ケンブリッジ・LSE修士課程(社会学・人類学分野)の出願記録③ CV, SoP

記事一覧: 第1回(自己紹介・出願の記録)第2回(志望校の選定基準・出願のスケジュール)、第3回(本記事)、第4回(研究計画書)第5回(ライティング・サンプル)第6回前編(語学試験)(後編)第7回(推薦状)

 今岡哲哉です。第三回となる今回の記事では、実際に提出した書類をベースにCV(履歴書)とSoP(志望動機書)の書き方をお伝えします。私の書類は何らかのマニュアルに依拠しているわけではなく、周囲のアドバイスとネイティブチェックのみに基づいています。したがって、他の受験生の方がどの程度参考にしてよいかは、一定の留保を付けなければならないでしょう。

 本稿で公開している書類は、ダウンロードして改変・再配布することのないようにお願いします。リンクは貼ってくださって構いませんが、コメント欄に一言くださると嬉しいです。

書類作成の方針

 書類作成全般に関するアドバイスですが、大学院のホームページを熟読した上で取り掛かるようにしてください。同じ書類でも各校ごとに要求する内容が大なり小なり異なるので、相手が求めている内容を丹念に読み取り、いかに合致した書類を作成できるかどうかが、合否の鍵になると思います。

 そして、第一志望の書類から取り掛かるようにしてください。寿司屋なら一番好きなネタを最後まで取っておくこともできますが、大学院受験では一貫目に大トロを平らげてください。その理由ですが、第一志望の出願書類は一番集中して作成できるからです。最初に全力で書き上げた書類を雛形とすれば、他の志望校には簡単に出願できるようになります。実際、私が第3志望のLSEに提出した志望動機書は、第1志望のOxfordに出したものを少しばかり改変したにすぎません。逆に、志望度の低い大学院から書類を作り、ブラッシュ・アップを重ねて最後に第一志望に取り掛かろうとしても、十分な時間が確保できなくなる恐れがあります。

 また、当然ですがネイティブ・チェックは必須です。アドミッション・オフィス側も留学生の英語が完璧でないことは承知しているはずです。しかし、文法・語法的に明瞭でない英語で書いた書類を提出してしまうと、自分の意図を正しく伝えることができないばかりか、先方に対して校閲の労力を惜しんでいると悪い印象を与えかねません。

CV(履歴書)

 本題に入りましょう。CVとは、自分のアカデミックな経歴を簡潔に記載した履歴書のことです。第1志望のOxfordのホームページには、次の要求がありました。

“A CV/résumé is compulsory for all applications. Most applicants choose to submit a document of one to two pages highlighting their academic achievements and any relevant professional experience.”

 条件は簡潔で、①1〜2ページであること、②関連するアカデミックな業績と(あれば)職歴を記載していること、を満たせば良いようです。私のCVでは、①学歴、②調査経験、③発表経験、④報告書、⑤インターン、⑥ボランティア経験、⑦課外活動、⑧言語、⑨調査費の調達経験、の順にセクションを分けています。デザインを考える際には、ネイティブ・スピーカーの知人がちょうど転職活動中だったので、手元にあったCVを見せてもらいました。英文校閲も引き受けてもらいました。諸先輩方の体験談によると、アメリカの大学院生がインターネットで公開しているCVの参考になるらしいです。どの大学院もCVには厳密な条件がなかったので、全校に同じものを提出しました。

SoP (志望動機書)

 SoPとは志望動機書のことです。私が出願したOxfordのMSc in Migration Studiesのホームページを参考に、アドミッション・オフィスが何を求めているかを見てみましょう。

500-1,000 words

In writing your statement, explain why you wish to study migration; how your previous academic or professional experience has prepared you for doing so; what thematic or geographical areas of interest you would like to explore in your dissertation; and why you think that the Oxford degree is best suited for enabling you to pursue your academic and/or professional goals.

Generally margins of around 2.5cm and a font size of at least 11 points are preferred, though single-line spacing is fine. Please ensure that your document is formatted in a way that makes it easy to read.

This statement will be assessed for evidence of motivation for and understanding of the proposed area of study and the nature of the course applied to; commitment to the subject; and evidence of a defined set of research interests.

 要求を整理すると、SoPは①500-1,000語の範囲で、②移民研究を学びたい理由と、そこに至るこれまでの経験、修士論文で追求したい理論的・地域的関心、Oxfordがふさわしい理由を説明し、③所定のデザインを満たすことが必要で、④モチベーションと、学問に対する理解を測るのに使われるようです。

 以上の要求のうち、①と③は機械的に処理できますが、問題はいかに的確に②を書いて④の目的を果たすのか、ということになります。私が考えた書き方は、次のようにパラグラフを分けるというものでした。

第一段落…全体のまとめ

 アドミッション・オフィスが流し読みで済ませてしまう可能性を踏まえて、第一段落だけで全体像を呈示することを意識しました。冒頭で移民研究の代表的なテキストから一文を引用し、研究のモチベーションとなった個人的な経験を手短に述べてから、Oxfordで修士を取得してから博士課程に進学し、将来的には国際移住機関で働きたいという目標を提示しています。以降の段落で個人的な体験を開示する余地は少ないので、書きたければここで味付け程度に少し触れておくのがよいでしょう。

第二段落…学部での学問的関心、調査経験

 京都大学で社会学を専攻し、質的調査を通じて移民を研究してきたことを述べています。また、大学のコンペに入賞して研究資金を調達し、芝園団地で住み込み調査を実施していることも紹介しています。さらに、その調査内容を英語で発表した経験があり、概要をライティング・サンプルに含めたことを紹介しています。前者では実績をアピールし、後者では出願書類に全体的な繋がりを生むことを狙いました。

第三段落…研究に関連した課外活動の経験

 芝園団地で自治会の役員として外国人住民を対象とした地域活動に取り組んだこと、大学の研究室で京都市内のJFC(Japanese-Filipino Children)に学習ボランティアをしたこと、それに関連して大学のフィリピン研修に行き、簡単なプレゼンをしたことを書きました。

第四段落…修士論文で追求したいテーマ

 研究計画は今見返すと恥ずかしい代物なのでごく簡単に触れておきますが、特に中国人をテーマに高度人材移民の社会統合について研究したいと述べて、先行研究から明らかになっていないと考えられる点を不勉強なりに指摘しました。

第五段落…なぜOxfordで学びたいのか

 冒頭でOxfordの教授陣と授業に惹かれたと全般的な理由を述べてから、教わりたい教員についてかなり具体的に書きました。一番教わりたい中国移民研究の専門家については、論文2本と著作1本を取り上げて、自らの研究に与えた影響を述べました。同時に、移民研究の理論であるトランスナショナリズムに詳しい別の教員の名前も挙げました。

第六段落…Oxfordと将来の目標との関わり

 最後はこのコースが国際機関で働くという将来的な目標に合致していることを述べました。その理由ですが、このコースが人類学部と開発学部の共同で運営されており、開発と移住をテーマに研究している教員の講義を受けることで、研究と実務との関わりも学べるからというものです。

 以上の内容は割とスムーズに書くことができました。二日間で書き上げて、指導教員にもコメントをお願いしましたが、若干の修正すべき点を除けば、内容に関しては概ね良く書けているとのことでした。それからネイティブ・スピーカーの先生に英語の校閲をお願いしたところ、内容は問題ないので英語に手を入れたとのコメントが返ってきましたが、修正前修正後とでは英文の質が見違えるように変わっています。

 この書類をもとにLSEのSoPも作りました。LSEの要求は次の通りですが、Oxfordと大差はありませんでした。

Your statement(s) should be typed and no longer than two sides of A4 paper. There is no fixed word limit, but we expect statement(s) to be no longer than 1,000 – 1,500 words.

In your statement(s), you may wish to discuss the following:

  • Motivation for undertaking the programme(s)
  • Academic interests, strengths and background relevant to the programme(s)
  • Areas of specific interest within the programme(s)
  • Academic ambitions and/or research interests related to the programme(s)
  • Any professional aspirations, and how academic work within the programme(s) might help you realise such aspirations
  • Other relevant information, such as additional reading or research, work or other relevant experience that has informed your decision to apply for the particular programme(s)

実際にLSEに提出した書類では、OxfordのSoPの五段落目を書き直して、四段落目と六段落目の文章に微修正を加えただけです。LSEに行きたいことをアピールするため、ロンドンで調査をしたいと書いたり、昔LSEに在籍していたサスキア・サッセンという名のある研究者の名前を入れてみたり、実際に教わりたい教員名とコース名を述べたりしています。ネイティブチェックはCVを見せてくれた知人にお願いしました。

 以上で終わりですが、何かご質問があればコメントお待ちしております。皆さんのお役に立てることを願っています。

 

 

オックスフォード・ケンブリッジ・LSE修士課程(社会学・人類学分野)の出願記録③ CV, SoP” への6件のフィードバック

  1. 高校卒業してオーストラリアに進学し、国際関係学と文化人類学を専攻しています。長くイギリスでmigration studiesをすることが目標にしていますが、具体的に何から手をつけて良いか分からなくなっていました。そんな時に、同じ分野で、しかも日本人で、出願の様子をまとめているブログを見つけることができました。本当に感謝でいっぱいです。何度も読んで参考にします。ありがとうございます。

    1. お返事遅れてすみません。微力ながらお役に立てたようで幸いです。何かあればいつでもご連絡ください。今後のご活躍を祈っています!

コメントを残す